【カブトムシの蛹化するところを親子で楽しんでください】
カブトムシの変化の中で、最も神秘的なものは蛹化ではないでしょうか?子供たちに、この瞬間を見せてあげることは、一生に一度あるかないかの素晴らしい経験になると思います。しかし、相手は、生き物のことですから、なかなか難しいのも事実です。
実際、私は撮影のためとその瞬間がいつのなのかを把握するために、2日も徹夜をして取材してしまいました。その経験の中から、カブトムシの幼虫が「完全なる前蛹」になるまでの過程を観察することができました。
みなさんには、私のように徹夜をしてまで観察するようなことを、極力抑えて、家族揃って、神秘の蛹化ショーを楽しんで頂きたいと思いこのぺージを作成しました。このページが、子供たちの「よき思い出」となり、「親子の絆」を深める手助けとなれば光栄です。
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【約10日前】
まず、幼虫はワンダリングという行動をして蛹室作りに適した場所をさがします。場所が決まると「ゴッ、ゴッ、ゴッ」という感じの、何かをかじるような音が聞こえてくるようになります。蛹室は、幼虫が自分の糞を利用して作っているので、マットの色が、その周囲の色と異なり、湿った感じで、粘土状になっています。この段階では、マットの交換はしない方がいいでしょう。しかし、通常飼育で、6月に入っても、この音が聞こえてこないという時は、マットの状態が蛹室作りに適していない状態かもしれません。そのときは、黒土(幼虫のフンをすりつぶした物でも代用可)を容器の底から10センチ程度固めに詰めて、マットをセットし直すと蛹室をスムーズに作ってくれます。
●幼虫の色:乳白色 ●肌のはり:ブヨブヨ |
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【約1週間前】
蛹室が完成すると、前蛹への変化がはじまります。(私の場合は、コーヒービンに2頭入れることで100%ガラス壁面に蛹室を作成し観察することができました。ただ、羽化の際に問題が発生する可能性があるので、必ずしもおすすめはしません)。幼虫の頭は、「黒」から「茶」に変化し、アゴは動かず、体毛は立ち、足がカタカナの「レ」のようになり、退化して動かなくなります。こうなると、もう土を掘る力がないので、観察のために蛹室の天井部分を開ける「露天堀り」をしたり、「人工蛹室」に移しても大丈夫でしょう。その前に、蛹室を暴くと、幼虫は再び穴を掘り始め、新しい蛹室を作ろうとしてしまうので注意しましょう。
●幼虫の色:乳白色 ●肌のはり:ブヨブヨ |
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【約3日前】
幼虫の背中の脈打つ心臓の黒い線がうすくなり、「まゆ毛状のアザ」が現れてくる頃です。このアザは、だんだん数が増えていき、私が観察している限りでは、最終的に8対のアザがみられました。特に頭側のアザ(頭から数えて3つ目の気門あたり)は、太くて濃くなり、徐々に立体的になります。蛹化の当日では、飛び出てきて裂けそうになります。実際、蛹化のための脱皮はここから裂けてくるようです(蛹になってもこのアザは残っています)。このアザを観察することによって、蛹化のタイミングをはかれます。この段階では、蛹化はまだなので、観察のための、徹夜などせず、グッスリ眠り、その時に備えておいた方がいいと思います。
●幼虫の色:薄汚れた茶色 ●肌のはり:ブヨブヨ |
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【約3時間前】
「完全なる前蛹体」の状態になってきます。観察のために、気合をいれて待機するのはここからで充分でしょう。ポイントは、お尻の状態と肌のハリです。お尻はそれまで、液体が入っているような透明感があったものが、黒いタール状のものを排出して、三角形のように尖った感じになってきます。肌のはりも、気門のあたりがブロック状であったものが、つながった状態になり、まるで体全体がタイヤを積み重ねて構成されたような感じになります。この状態からは、いつ蛹化がはじまっておかしくないので、お風呂は早めに入って、撮影する場合は、機材を整えて、待ちましょう。家族を呼んで、一緒に見るのはもう少し後でもいいと思います。
●幼虫の色:飴色 ●肌のはり:シワシワ |
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【約1分前】
それまで、前後に腹筋運動をしていた幼虫が、体全体が波打つような動きに変わります。お尻の方から、ハミガキ粉のチューブを絞りだすようなイメージです。明らかに脱皮前の動きとは違うので、よく観察しているとわかると思います。この段階では、家族の人で、トイレに入っている人なら、呼んであげるとまだ観察に間にあうかもしれない。お風呂に入っている人は、もう間に合わないかもしれません。撮影のためにカメラを用意してない人も、すぐ取り出せてスタンバイできるのなら間に合うと思います。カメラが押入れの奥深くにしまいこんである場合は、諦めたほうがいいかもしれません。観察に専念しましょう。
●幼虫の色:オレンジ ●肌のはり:パンパン |
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